不動産売却時にはどんな書類が必要?必要書類の種類や取得方法を解説!

崎浜 雅人

筆者 崎浜 雅人

不動産キャリア19年

仕事はマジメに取り組んでおります!

不動産売却時にはどんな書類が必要?必要書類の種類や取得方法を解説!

不動産の売却に際しては、多様な書類の提出が求められます。
なかには取得に時間を要するものや、状況に応じて代替書類を用意しなければならないケースもあります。
売却手続きを円滑に進めるためには、事前に必要書類の内容と取得方法を把握しておくことが重要です。
本記事では、不動産売却時に求められる主な書類とその取得方法、留意すべきポイントについて解説しますので、ぜひ今後の参考にしてみてください。

不動産売却における必要書類:売却前

不動産売却における必要書類:売却前

土地や建物を売る場合、大半の方が不動産会社に仲介を依頼するでしょう。
不動産会社に売却を依頼する際には、以下の書類を準備しておくことをおすすめします。

不動産購入時に受け取ったパンフレット

物件パンフレットの提出は必須ではありませんが、不動産会社が広告や販売資料を作成する際に有用な参考資料となります。
パンフレットには構造や間取り、設備仕様などの基本情報が網羅されており、事前に提供することで販売活動がより円滑に進みます。
通常は購入時に配布されていますが、紛失している場合は施工会社または管理会社へ問い合わせてください。
再発行には費用がかかる場合があるため、その点も併せて確認が必要になります。
なお、パンフレットは売却成立後に買主へ引き渡すため、できる限り良好な状態で保管しておきましょう。

住宅ローンの償還表

売却予定の不動産に住宅ローンの残債がある場合は、「住宅ローン償還表」も用意しておきましょう。
償還表とは、ローンの残高や残りの返済期間、毎月の返済額などが記載された書類であり、ローン状況を正確に把握するための重要な資料です。
住宅ローンを利用して取得した不動産には、通常「抵当権」が設定され、金融機関が当該物件を担保にしています。
この抵当権が付いたままでは不動産の売却は完了できないため、売却代金でローンを完済し、抵当権を抹消しなければなりません。
売却価格の決定にあたってはローン残高の把握が不可欠であり、その際に償還表があれば残債の確認が容易になります。
償還表は通常、金融機関から定期的に郵送されますが、紛失した場合は借入先の金融機関へ問い合わせれば再発行することが可能です。

売買契約書

売買契約書とは、売主と買主の間で商品の売買取引をおこなう際に作成する契約書です。
主な記載事項として、契約日や引き渡し日のほか、売買代金、手付金の金額、物件状況などがあり、不動産会社が売却活動をおこなう際に活用されます。
また、この売買契約書は、物件を売却する際に新しく作成するものですが、譲渡所得の計算のために以前の売買契約書が必要となることも覚えておきましょう。

不動産売却における必要書類:売買契約締結時

不動産売却における必要書類:売買契約締結時

不動産会社の仲介によって買主が見つかったら、続いて売買契約締結時を結びます。
媒介契約とは、売却活動を始める前に不動産会社と結ぶ契約のことです。
媒介契約の締結によって売却活動の内容や成約価格などを明確にすることができ、後々のトラブル防止につながります。
売買契約締結時にも提出を求められる書類があるので、事前に確認しておきましょう。

印鑑証明書

不動産売却時に締結される各種契約書類には「実印」の押印が必要となるため、これを証明する「印鑑証明書」の提出が求められます。
印鑑証明書は、現住所を管轄する市区町村の役所で取得できるほか、マイナンバーカードを所持していればコンビニエンスストアでも発行することが可能です。
ただし、印鑑証明書には発行日から3か月間の有効期限があるため、取得のタイミングには十分注意するようにしましょう。

固定資産税納税通知書

不動産売却時には、固定資産税の精算が必要となるため、固定資産税納税通知書の提示が求められます。
納税通知書は毎年5月頃に市区町村から郵送されるため、まずはご自宅に保管されていないか確認してください。
なお、納税通知書は再発行できないため、紛失している場合は代替書類として「名寄帳(なよせちょう)」の写しを準備する必要があります。
名寄帳の写しは、自治体の税務担当窓口で取得できるほか、郵送申請により取り寄せることも可能です。
売却手続きを円滑に進めるため、早めの確認と準備をおすすめします。

建築確認済証または検査済証

建築確認済証および検査済証は、建物が建築基準法に基づく建築確認を受け、適正に施工されたことを証明する重要な書類です。
これらは通常、不動産購入時に売主から交付されているため、まずはご自宅に保管されていないか確認してください。
万が一見つからない場合は、代替書類として「建築計画概要書」や「建築確認台帳記載事項証明書」を所轄の役所で取得する必要があります。
これらの書類がないと、買主が住宅ローンの審査を通過できない場合もあるため、早めに準備しましょう。

登記済権利証または登記識別情報通知書

登記済権利証または登記識別情報通知書は、不動産の登記が完了した際に所有者へ交付される重要な書類です。
これらの書類は不動産の所有者本人にのみ発行されるため、売却時には売主が正当な権利者であることを証明する役割を果たします。
平成16年の不動産登記法改正以前は「登記済権利証」が発行されていましたが、それ以降は「登記識別情報通知書」に切り替わっています。
いずれも再発行できないため、紛失している場合は以下のいずれかの方法で代替措置を取る必要があるでしょう。

●登記官による事前通知制度の利用
●公証人による登記義務者であることの認証
●司法書士や弁護士による本人確認情報の提供


これらの手続きは日数がかかることもあるため、売却を予定している方は、早めに該当書類が手元にあるかを確認しておきましょう。

不動産売却における必要書類:売買決済時

不動産売却における必要書類:売買決済時

最後に、決済および物件の引き渡し日に必要となる書類を解説します。

固定資産評価証明書

固定資産評価証明書は、土地や建物などの固定資産に対する評価額を証明する書類です。
都税事務所や県税事務所などで発行でき、土地と建物それぞれ個別に取得する必要があります。
有効期限は発行日から3か月以内と定められているため、取得時期には十分注意してください。
また、発行を依頼する際は取得年度にも注意が必要です。
固定資産評価証明書は毎年4月1日に更新されるため、不動産の登記申請には、その時点で最新の年度のものが必要です。
たとえば3月に取得した証明書は、4月の登記手続きには使用できません。
固定資産評価証明書を取得する際は、有効期限だけでなく証明年度にも注意を払うことが重要です。

登記関連の書類

決済当日には、司法書士が売主の代理として法務局へ出向き、登記申請をおこなうのが一般的です。
この手続きにあたっては、次のような書類が必要となりますが、多くは司法書士が作成します。

●委任状
●登記原因証明情報
●代理権授与証明書(売主が当日立ち会わない場合)


当日は司法書士による本人確認も行われるため、マイナンバーカードや運転免許証などの顔写真付きの身分証明書を忘れずに持参しましょう。

まとめ

不動産売却には多くの書類が必要で、取得に時間がかかるものもあります。
売却前には物件パンフレットや住宅ローン償還表、売買契約時には印鑑証明書や固定資産税納税通知書、決済時には固定資産評価証明書などが必要です。
なかには紛失時に代替書類を求められるケースもあるため、早めの必要書類を確認し、計画的に準備を進めましょう。

株式会社愛信の写真

株式会社愛信

株式会社愛信は、福山市を中心に不動産の売却・購入に関するご相談を承っております。私たちは、不動産の売却提案を軸に、建築・リフォーム・清掃といった住まいに関わる幅広いサービスを展開しており、地域の皆さまの快適な住環境づくりをトータルでサポートしています。
「不動産のご購入、ご売却で発生するご不安点をお客様と同じ目線で考える」という姿勢を大切にし、単なる不動産の取引にとどまらず、その後の生活を見据えたご提案を心がけています。住まいは、人生において大きな選択のひとつ。その重要な場面で信頼していただける存在であることが、私たちの何よりの喜びです。
コラムでは、不動産売却に関心のある方に向けて、現場での経験を活かした実践的な情報をお届けしています。疑問や不安をお持ちの方も、まずはお気軽にご相談ください。誠意をもって、安心の取引をお手伝いさせていただきます。