不動産売却でかかる税金の種類は?節税方法についても解説!

不動産売却

崎浜 雅人

筆者 崎浜 雅人

不動産キャリア19年

仕事はマジメに取り組んでおります!

不動産売却でかかる税金の種類は?節税方法についても解説!

「不動産を売ったらどれくらい税金がかかるのだろう」と不安に思う方は少なくありません。
売却に伴う税金は種類も多く、計算方法も複雑ですが、事前に金額の目安を把握しておくと安心です。
この記事では、不動産売却にかかる主な税金と譲渡所得税の計算方法、賢く節税するためのポイントを解説します。

不動産売却で発生する税金の種類

不動産売却で発生する税金の種類

不動産を売却する際にかかる税金は、主に「印紙税」「譲渡所得税」「登録免許税」の3種類です。
ここでは、それぞれの税金がどのような性質を持ち、どのタイミングで発生するのかを確認しておきましょう。

税金の種類①印紙税

印紙税は売買契約書などの課税文書に対して課される税金で、契約書に収入印紙を貼付して納税します。
金額は売却価格によって異なり、2027年3月31日までは軽減措置が適用されます。
軽減税率適用後の印紙税は、以下のとおりです。

●100万円を超え500万円以下:1,000円
●500万円を超え1,000万円以下:5,000円
●1,000万円を超え5,000万円以下:1万円
●5,000万円を超え1億円以下:3万円


また、2022年の法改正により、一定条件を満たせば不動産売買の電子契約が可能となりました。
電子契約では、紙の契約書に収入印紙を貼る必要がなくなるため、印紙税の納付が不要になります。

税金の種類②譲渡所得税

譲渡所得税とは、不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課される税金です。
具体的には、売却価格から購入費用や仲介手数料、必要経費を差し引いた金額が譲渡所得となり、その額に応じて所得税と住民税が課されます。
譲渡所得がゼロまたはマイナスの場合は、譲渡所得税は課されません。
また、所有期間によって税率が変わるため、不動産をいつから所有しているかも確認しておく必要があります。

税金の種類③登録免許税

不動産売却時に住宅ローンが残っている場合は、抵当権の抹消登記が必要です。
抵当権とは、金融機関が貸付金の回収を確実にするため、不動産を担保に設定する権利のことです。
ローンの返済が滞ると、金融機関はその不動産を競売にかけ、貸付金を回収できます。
売却の際は住宅ローンを完済し、抵当権を抹消する必要があり、この手続きにかかる税金が登録免許税です。
抵当権抹消の登録免許税は1物件あたり1,000円と比較的少額ですが、司法書士に依頼すると1万円~3万円程度の報酬が発生します。
なお、所有権移転登記については買主側に登録免許税がかかりますが、売主が負担することは原則ありません。

不動産売却にかかる税金のひとつ「譲渡所得税」の計算方法

不動産売却にかかる税金のひとつ「譲渡所得税」の計算方法

不動産売却時にかかる税金の中でも金額が大きくなりやすいのが譲渡所得税です。
「思ったよりも手元にお金が残らない」とならないよう、譲渡所得税の計算方法を理解し、税額がいくらになるか把握しておきましょう。

ステップ①譲渡所得を求める

譲渡所得税は、不動産を売却して得た利益(譲渡所得)に対して課される税金です。
そのため、税額を知るにはまず譲渡所得を計算する必要があります。
譲渡所得を求める計算式は以下のとおりです。
譲渡所得=売却価格−(取得費+譲渡費用)
取得費は不動産を購入した際にかかった費用で、譲渡費用は不動産を売却する際にかかった費用を指します。
なお、建物の取得費は購入時の価格そのままでは計上できません。
経年に伴う価値の減少を考慮するため、減価償却費を差し引く必要があります。
減価償却費は次の式で算出します。
減価償却費=建物取得費×0.9×償却率×経過年数
償却率は建物の構造や用途によって異なり、たとえば木造住宅(自宅用)の場合は償却率が0.031です。
詳しい計算方法や償却率は国税庁の公式サイトに記載されているため、売却前に確認しておきましょう。

ステップ②譲渡所得から特別控除額を差し引く

次に、利用可能な特例がある場合は、その控除額を譲渡所得から差し引きます。
不動産売却時には、税負担を軽減できる特例制度が複数用意されています。
詳細は後ほど具体例とともに解説しますが、売却前に自分が該当する制度があるかどうかを確認しておくことが重要です。
なお、この時点で譲渡所得がゼロまたはマイナスになる場合は、譲渡所得税は発生しません。

ステップ③所有期間に応じた税率をかける

最後に、算出した譲渡所得に税率を掛けることで、実際の納税額を求められます。
税率は不動産の所有期間によって異なり、所有期間が5年以下の短期譲渡の場合は約39.63%、5年を超える長期譲渡の場合は約20.315%です。
ここで注意したいのは、所有期間の起算点が「売却した年の1月1日現在」で判断される点です。
たとえば、2015年6月に自宅を購入し、2020年7月に売却した場合、2020年1月1日時点では5年以下となるため、短期譲渡所得として課税されます。
売却のタイミングによって税額が大きく変わることがあるので、5年目に売却する際は所有期間の計算を間違えないようご注意ください。

不動産売却にかかる税金を節税する方法

不動産売却にかかる税金を節税する方法

最後に、不動産売却時に活用できる税制上の特例についてご紹介します。
特例が利用できない場合の対応策についても解説するので、節税対策の参考にしてください。

特例を利用する方法

不動産売却の際には、税負担を軽減できるさまざまな特例制度が用意されています。
代表的なものとして「3,000万円の特別控除」があります。
これは、マイホームを売却する際に一定条件を満たすと、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。
ほかにも、次のような特例があります。

●10年以上保有した場合の軽減税率の特例
●被相続人の居住用不動産(空き家)に関する3,000万円特別控除
●取得費加算の特例
●譲渡損失の損益通算・繰越控除


これらの特例を活用すれば、税負担を大幅に軽減できる可能性があります。
ただし、いずれも適用には一定の条件があるため、利用を検討する際は国税庁の公式サイトなどで最新情報を確認しておくことが重要です。

物件の購入額がわかる書類を用意する

取得費には不動産の購入価格も含まれますが、購入時の書類が残っておらず金額が不明なケースもあります。
とくに相続した土地などでは、購入価格の記録が存在しないことも少なくありません。
そのような場合には、「概算取得費」として売却代金の5%を取得費として計算することが可能です。
たとえば、3,000万円で売却した場合、概算取得費は150万円となります。
ただし、概算取得費で計算すると課税対象額が大きくなり、税負担が重くなる可能性があります。
可能な限り購入価格がわかる資料を確認・収集して、正確な取得費で計算するようにしましょう。

売却するタイミングを見極める

節税のポイントとして、売却のタイミングを見極めることも大切です。
たとえば、物件の所有期間が5年以下だと税率が高くなるため、あと数か月で5年を超える場合は売却を待つことも検討できます。
ただし、3,000万円の特別控除を利用する場合は、住まなくなってから3年以内に売却しなければなりません。
タイミングを誤ると控除が適用できなくなる可能性があるので、その点も踏まえたうえで早めに不動産会社にご相談ください。

まとめ

不動産売却では、印紙税や登録免許税、譲渡所得税など、さまざまな税金が発生します。
なかでも譲渡所得税は負担が大きくなりやすいため、計算方法や特例制度を正しく理解し、金額の目安を把握しておくことが大切です。
物件の購入額がわかる書類を用意したり特例を利用したりして、賢く節税に繋げましょう。

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株式会社愛信

福山市に根ざした地域密着のサービスを通じて、お客様の暮らしに寄り添うご提案を心がけています。
不動産の売却・購入というお客様の大きな決断に際し、これまでの豊富な実績と地域に特化した情報力で、最善のご提案をいたします。

■強み
・不動産売却を中心に、建築 / リフォーム / 清掃まで幅広く対応
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■事業
・不動産売買仲介
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